馬刺しの食べ方【解凍編】
おいしく食べる秘訣は半解凍
現在流通している馬刺しはすべて『冷凍の馬刺し(馬肉)』です。
そして、鮮度が維持しやすいブロック状のものが主流です。
ご家庭での調理は、解凍→開封→スライス→盛り付けという流れで行います。
馬刺しは繊細な食材ですので、その際に調理のコツを知っているか知らないかで味や見映えが変わってきます。
中でも、一番最初の段階である『解凍』が最も大切になります。その後のスライス・盛り付け等すべての工程に影響を与えるためです。
馬刺しは生で新鮮なうちに食べるので『半解凍調理』が基本です。半解凍とは表面がやや溶けていて中心部がまだ凍っている状態を指します。
『半解凍』で調理することで、食べる頃に丁度良い塩梅に解凍され、おいしい馬刺しを最高の鮮度でお召し上がりいただくことができます。
今回は、失敗しない馬肉の解凍方法について解説致します。
■おすすめは氷水解凍
1)容器に水を張りたっぷりの氷を入れる。(ほぼ0℃になります)解凍したいものが全て水に沈む程度の大きさの容器を選び、氷を入れた後 は少しかき混ぜて下さい。
2)馬刺しは真空パックのまま氷水に沈めます。まんべんなく氷水に触れさせるため、浮く場合はお皿などで全てが沈むようにします。
3)氷が溶けてなくなる場合は氷を追加し、0℃前後をキープするのが理想です。
4)手で触って解凍具合を確かめたら氷水から取り出します。表面が少し柔らかくなっていて包丁の刃が入りそうであればOKです。
・赤身・霜降りは、約10分が取り出す目安
・レバー・タテガミ・ユッケは、5分が取り出す目安
■解凍時に注意したい温度帯
<-5℃~-1℃>の環境下では、食材の内部にできた氷結晶が大きくなることがわかっています。解凍時にその温度帯を通過する時間がゆっくりだと、大きくなった氷結晶が組織を傷つけるため、食感が悪くなったり、ドリップの原因となります。
<10℃~40℃>の環境下(いわゆる常温)では、食材の酵素反応が活発となります。酵素が働くと味が変化し、おいしさを損なう恐れがあります。
出典:おいしい冷凍研究所
■いろいろな解凍方法
一般的によく使われる解凍方法として、「自然解凍」「流水解凍」「冷蔵庫解凍」「氷水解凍」「加熱解凍」があります。①自然解凍 常温環境に置いて解凍する方法 ✖
②流水解凍 食材を流水にさらして解凍する方法 ▲
③冷蔵庫解凍 冷蔵庫内に置いて解凍する方法 ▲
④氷水解凍 食材を氷水に浸け込んで解凍する方法 ◎
⑤加熱解凍 高温の熱を与えて解凍する方法 ✖
■馬刺しには「氷水解凍」が良いワケ
①自然解凍は、ゆっくりと常温に向かって変化し、表面と中心部で時間差ができるため表面部の酵素反応が活発になってしまいます。馬肉との温度差も大きく、ドリップと共に旨み成分が失われやすい解凍方法です。
②流水解凍は、熱伝導の高い水がまんべんなく馬肉と接するため、熱が伝わりやすく、流水で水も入れ替わることで早く解凍されます。水道水は環境や地域によって温度に違いがありますが、夏場などは水温が高く40℃を超えることもあるので、温度差に幅のある解凍方法です。
③冷蔵庫解凍は、表面からゆっくりと解凍され、冷蔵庫内の温度帯の5℃に向かってゆっくり変化します。そのため、氷の結晶が大きくなる-5℃~-1℃の温度帯で長く留まる解凍になってしまい、氷結晶によるダメージが発生しやすくなります。またドリップが出やすい解凍です。
④氷水解凍は、馬肉の表面にまんべんなく熱伝導の高い水が接し、解凍スピードが早まります。さらに、氷水に漬け込んでいることで表面温度を0℃付近に保つため、酵素反応・氷結晶のダメージを受けにくく馬刺し向きの解凍といえます。
⑤加熱解凍は、-5℃~-1℃の温度帯は早く通過するものの、熱により変化する可能性が高く、冷凍の馬刺しや魚の刺身など生で食べる食材の解凍には不向きといえます。
細胞や繊維を壊さず、ドリップも最小限に、できるだけ鮮度を保った状態で解凍できるのが「氷水解凍」というわけです。